★猫丸しりいず第284回


◎ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番
ダヴィッド・オイストラフ(Vn)
アントニオ・ペドロッティ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(SUPRAPHON SU3780 ※廃盤)
 
多くの「隠れ名匠」をネタにしてきた当「猫丸」だが、今回は「謎の名匠」と呼びたい
アントニオ・ペドロッティ(1901~1975)が登場。


何が「謎」なのか。今までとり上げてきた「隠れ名匠」たちは、今日「隠れ」になって
しまっているとは言え、それなりの量の録音を遺し、ある程度はワールド・ワイドな
活躍をした人がほとんど。それに対し、ペドロッティは遺された音源そのものが
非常に少ない。その稀少な音源を聴くと、中々の名指揮者であった事は容易に
想像出来るのだが、一体どうした事なのだろうか。


私が彼の名前を初めて知ったのは、チェコ・フィルとのレスピーギの「ローマ三部作」。
かつては「ローマ三部作」の廉価盤としてそれなりの存在感を放っていたが、今や
廃盤で入手困難となってしまった。まろやかなオケの音色とイタリアンな情熱の
せめぎ合うユニークな名盤。しかし、このペドロッティという指揮者の音源は他に
全く見当たらず、長年彼は私にとって「謎の一発屋名指揮者」であり続けた。


ペドロッティはイタリア北部トレントの生まれで、ローマの聖チェチーリア音楽院で
レスピーギに作曲を学んだ人。つまり上記の「ローマ三部作」はまさに「師匠直伝」
の名演というわけである。しかしそれ以上の情報は得られず、彼の正体は相変わらず
「謎」のまま。そして彼の名を知ってから20年以上経った2006年に突如私の前に
現れたのが、コロムビアから発売された「スプラフォン・ヴィンテージ・コレクション」
に含まれていたブラームスの「交響曲第4番」。これを見つけた時は、思わず
「オオーッ!」と雄叫びを上げる所であった。1957年のモノラル録音。ステレオで無い
のがチト残念ではあったが、興 味津々で 聴いてみる。


「素晴らしい!」とまたも雄叫びを上げそうになってしまった。古雅でマイルドな
チェコ・フィルの魅力溢れる響きに、まさにイタリアンな情熱とカンタービレ!
(上記のレスピーギの名演と通じる魅力である)
第1楽章は「手に汗握る」という趣きで、このシブい曲を聴いてこんな経験をした
事はそれまで無かった。「おフランス弁丸出し」で妙にセクシーなマルケヴィッチ&
ラムルー管盤と双璧の「ブラ4ユニーク名盤」。ペドロッティはイタリア国内での活動が
メインだったようだが、何故かチェコ・フィルとの相性が非常に良く、度々客演していた
のだそうだ。このコンビの貴重なライヴ音源が、オイストラフとのブラームスである。
1961年のプラハの春音楽祭のライヴで、当時まさに全盛期だったオイストラフの
至芸に心奪われる。いかにもライヴらしいノリの良さと凄い熱気は 実にスリリングで
、まさに聴き惚れてしまうのだが、ペドロッティの指揮するオケがオイストラフに対して
一歩も引く事無い素晴らしい熱演を繰り広げており、このコンビの関係が如何に
信頼関係に満ちた良好なものだったかが理解出来る。ちなみにこの「協奏曲」は
SU4015という規格で現在(2016年4月)まだ流通しているが、「交響曲第4番」が
上述のコロムビアの国内盤が廃盤になって以来入手困難になっているのが残念で
堪らない。


チェコ・フィルのSUPRAPHON録音には意外な指揮者たちとの入手困難な名盤が
多い・・・という事は以前もとり上げた通りではあるが、
(詳しくはhttp://blog-kichijyouji-classic.diskunion.net/Entry/2730/)、「ニッチ」な
音源が次々発掘されている昨今のトレンドの中、ペドロッティを含むチェコ・フィルの
隠れ名盤たちが再び日の目を見る機会がある事を熱望している。

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