★猫丸しりいず第230回
◎クラミ:カレワラ組曲、海の情景、スオメンリンナ序曲 他
ヨルマ・パヌラ指揮 トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
(NAXOS 8553757)
久々の北欧隠れ名曲探訪編。今回登場はフィンランドのウーノ・クラミ
(1900~1961)。

日本のリスナーにとってはフィンランド=シベリウスと言って良い位の状況で
絶大な人気を保つシベリウスとは裏腹に、その他の個性的な作曲家たちが
一部の北欧音楽マニア以外にあまりに知られていないのは、誠に惜しい。
この国の作曲家は既に当「猫丸」で、1887年生まれのマデトヤをネタにして
彼より少し後輩のクラミの作品は、マデトヤのそれと同様晦渋さは全然無く、
予備知識ナシでも充分に楽しめる。

混濁しない見通しの良い澄んだ響きは、他の多くのフィンランドの作曲家にも
通じる印象がある。しかし、クールでモノトーンという感じのシベリウスの後期
作品等と比べ、クラミの作品は澄んだ響きを保ちながらも中々カラフルでホット
なのだ。そう、「茹でたシベリウス」という趣きなのである。シベリウスの音楽を
茹でて、湯気が立っているうちに鮮やかに彩色しました・・・という感じ。

クラミは若い頃フランスに渡って、フローラン・シュミットやラヴェルに教えを受けた
らしいが、確かに彼らやストラヴィンスキー、ファリャなどの影響が感じられる。
彼の作品は、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」を素材としたものが多いが、
彼は先輩のシベリウスとは違った切り口で「カレワラ」の世界を描いている。
「カレワラ組曲」は鮮やかなカラー映像が次々に現れる・・という趣きの、クラミの
面目躍如たる作品で、シベリウスのような峻厳な感じは薄いが、とにかく聴いて
面白い事この上なし。「海の情景」の終曲には、ラヴェルの「ボレロ」の引用?も
登場して、聴き手をニヤリとさせる 。ストラヴ ィンスキーやラヴェルがお好きな方
には特にご一聴をおススメしたい作曲家だ。

さて、クラミの作品のCDとして第1におススメ出来るのが、今回ご紹介の
NAXOS盤。フィンランドの古都、トゥルクのオーケストラの演奏が優れているのは
もちろんの事、何と言っても名匠ヨルマ・パヌラ(1930~)の貴重な録音という点で
誠にかけがえの無い逸品である。

名指揮者としてのみならず、名教師として偉大すぎる業績を残しているのが
パヌラ。彼の愛弟子の名前を列挙すると、サロネン、サラステ、オラモ、ヴァンスカ、
フランク・・・。要するに、世界を舞台に活躍するフィンランド出身の指揮者たちは
ほとんどが彼の門下なのである。これほどの影響力を持つ大家でありながら、
自身の音源が稀少なのが残念だが、その貴重な録音がクラミの作品集というのは
まさに願ったり叶ったりだ。おまけに廉価なNAXOS盤。とにかく「隠れ名曲」の宝庫
である北欧の音楽、まだまだご紹介のネタは尽きません・・・。

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