★猫丸しりいず第218回
◎ロンビ:コペンハーゲン蒸気鉄道ギャロップ
 レブエルタス:鉄道敷設 ルーセンベリ:鉄道のフーガ 他
 
イジー・スターレク指揮 カイザースラウテルン南西ドイツ放送管弦楽団
(独HANSSLER 93187     ※アルバム名「RAILROAD RHYTHMS」)
 
◎「電クラ」
 
杉ちゃん&鉄平(杉浦哲郎&岡田鉄平)
(国内 Uea JKCA1040)
私と同じく「クラシック好きにして鉄道好き」という手に負えない(笑)御仁は決して少なくないらしい。


秋山和慶氏を筆頭に、プロのクラシック演奏家兼鉄ヲタという人々は少なくないし、そういう流派の
「元祖」と言えるドヴォルザークという超大物も存在する。
しかし、そんな「恵まれた」状況下でも「クラシック音楽と鉄道」という「禁断のテーマ」に正面から立ち向かった
品物はこれまで無かった。そして・・・遂に出てしまったのが、今回の1枚「RAILROAD RHYTHMS」。


このアルバムの凄いところは、「鉄道モノ」の大定番のオネゲル、ヴィラロボス、シュトラウス、ロンビ等の
作品は勿論の事、「よくぞこんな珍曲まで・・」とマニア筋を唸らせる作品までを発掘、収録している点。
企画担当の「本気度」の高さを感じさせる。中でもレブエルタス、ルーセンベリというマニア狂喜の顔ぶれに
よる作品(単に珍しいだけでなく、いかにもこの2人のカラーが出ているのが良い)は実に貴重。


チェコの指揮者スターレクとSWRのオケによる演奏はかなり独特で、賛否は分かれるだろう。
推進力には乏しいので、ポピュラーな作品を元気良い演奏で聴きたい・・・という方にはおススメ出来ない。
ただ、丁寧な演奏ぶりは珍曲には大いに効果を発揮しているし、私は結構面白く聴けた。
印象的なのが「パシフィック231」。当猫丸の最初期でもネタにした通り、この曲には実に様々なスタイルの
演奏が存在するが、このスターレク盤はこれまでに聴いた事の無い独特な味わいがある。


定規で線を引いていくような実直な演奏で、オケも生真面目そのもの。普通の演奏が、ちょっとカメラを
引いて、機関車の突っ走る全体像を捉えているように思えるのに対し、この演奏は「全体」を一切映さず、
「回転する動輪」とか「車輪をつなぐ連結棒の激しい動き」とか「計器類」とかの、走行中の機関車の
「パーツのドアップ」ばかりが連続する映像・・・といった趣きなのである。ある意味では「違いのわかる鉄ヲタ
向き」とも言える珍演奏だが、恐らく鉄道&悪ノリ好きが企画したと思えるこの1枚をしめくくるのにふさわしい
と思える演奏である。


そして・・・・・。クラシック音楽と鉄ヲタという「いけない」組み合わせを極めた名アルバムが
杉ちゃん&鉄平の「電クラ」。最初にお断りしておくが、この盤、私のような「乗りものマニア&クラシック
音楽好き」というどうしようもない(爆)同志以外には決しておススメしない逸品である。かなり「重症」の
鉄ヲタでなければ「3VFエチュード」は「何が面白いのか」以前に「彼らが何をやっているのか」さえ、
理解不能であろう。また「メトロ・イメライ~大阪・御堂筋編」や「同~福岡・空港編」に至っては、
「重症鉄ヲタ」の中でも私のような「実際に乗車する」事を主眼とした「乗り鉄派」以外には大阪や福岡
在住の方以外ホトンドウケない・・と思われる位のディープな内容である。


我ら1960年代生まれの乗り物ヲタクには幼少時の「憧れの的」であった名古屋鉄道の7000系「パノラマカー」
のジャケットも誠に格調高く(笑)、鉄ヲタの琴線に触れる事この上無い。そして、そのディープすぎる内容を
聴き進むに及んで、ますます感銘を受ける事必定の名アルバムだ。その後第3弾まで出てしまったところを
見ると、それなりの反響はあったのであろう。


なぜこのバカバカしいとも思えるアルバムに感銘を受けるのか、と言えば、何と言っても杉ちゃん&鉄平の
両氏の驚異的に卓越した技量とセンスによる。この手の「確信犯的お笑いアルバム」は、演奏するメンバーが
恐らくはオーソドックスな曲目もハイレヴェルにこなせるであろう名手でないと、聴き手を満足させる事は出来ない。
やはり「お笑いは一日にして成らず」。