★猫丸しりいず第155回
 
◎ウォルトン:「スピットファイア」~前奏曲とフーガ
 
サー・チャールズ・グローヴス指揮 
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
(国内EMI TOCE16238)
 
◎マルティヌー:サンダーボルトP-47
 
ペトル・ヴロンスキー指揮 ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団
(国内SUPRAPHON COCO73190)
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私は小学5~6年の頃、プラモデルに熱中した時期があった(今の子供はプラモデルって作るんだろうか?)。それも専ら「飛行機」のモデルである。
 
当時「飛行機プラモ」のネタになっていたのは、主に第2次大戦期の戦闘機や、初期のジェット旅客機であった。そこで子供心に何となく感じられたのが、ヨーロッパとアメリカの機体のそれぞれの「雰囲気」の違いである。一言で言えば、非常にスマートで洗練されたデザインの多いヨーロッパの機体に対し、アメリカのそれは全体的に「ゴツイ」のだ。その当時私がとても好きだった旅客機はフランス・シュドの「カラベル」と、英国BACの「VC10」(DC10じゃありませんよ)。その流麗でスラリとしたデザインは素晴らしく、それに比べて軍用機がベースのアメリカ・ボーイングの「B707」は良く言えば「実用本位」だが、何ともダサく感じたものだ。
 
その印象は今でも受け継がれていて、白鳥のように流麗な欧州エアバスの「A340」に比べ、ボーイングの「B767」「B777」は何だかゴツイ。新しい「B787」はそんなゴツイ印象を打ち破る画期的な機体だったのだが、最近のトラブル続きですっかりイメージダウンになってしまったのは「乗り物ヲタク」としては残念の一言だ。
 
閑話休題。オトナになって、プラモデルでお馴染みだった名機の名前をそのまま冠したクラシック音楽作品がある事を知った時は驚いた。それが今回ご紹介の2曲。最初の「スピットファイア」は第2次大戦期のイギリスの代表的戦闘機。何と20,000機以上が生産されたこの名機の設計者、R.J.ミッチェルの生涯を描いた映画のための音楽から、作曲者のウォルトン(1902~1983)自身が演奏会用に編曲したもの。「大英帝国の栄光」をそのまま音楽にしたような華麗、勇壮な彼の作品らしい名作。日本でも親しまれた名匠グローヴスによるこの盤、有名な2つの戴冠式行進曲「王冠」「宝玉と王杖」も含み、ウォルトン入門に好適な1枚。スラリとして、如何にも速そうなスピットファイアの雄姿を描いたジャケットも良い。ただ、英國魂こもった演奏は素晴らしいが、録音の古さが目立つのは玉にキズ。明快、聴かせ上手で、聴いた後爽快な気分になれるウォルトンの作品。
ファンが多いのも頷ける。
 
もう一曲の「サンダーボルトP-47」は、第2次大戦期のアメリカの代表的な戦闘機の一つ。これまた約15,000機も生産された名機の名を冠した作品を1945年に書いたのは、先日「ニッポナリ」をご紹介した近代チェコの大物マルティヌー。ワシントンのオケの委嘱作で、実にこの作曲家らしいリズミカルなスケルツォ。中々面白い作品だ。ちなみに、掲載したジャケット写真は、この規格では「裏表紙」の位置になってしまっているのでご注意を。確か旧規格盤では、このP-47の雄姿がキチンと表側になっていたのだが、再発売に当たって「どうしてこっちを表側にしなかったんじゃ!」と乗り物ヲタクとしては叫びたい気分である。なので、あえてこちらの「ジャケ裏面」を掲載する事にした。ご覧の通り、スマートな「スピットファイア」に比べて実に野暮ったいズングリしたデザインの機体である事がおわかり頂けるだろう。
 
CD時代になってからはほとんど見かけなくなったが、レコード時代には飛行機、自動車等「ノリモノ」がデッカク出ているジャケットが結構あって、その類のレコードは中身に関係なくつい買いたくなってしまう。我ながらガキっぽいな・・・と思ってしまうのだが、この齢になっても未だに駅や空港に行くとワクワクしてしまう事といい、趣味の世界においては男はいつまでも「コドモ」のようですな・・・・